2025年1月29日水曜日
フジテレビ10時間超会見が露呈させた "組織の闇" ―― 危機管理の大失態と残された課題
フジテレビの「やり直し会見」は、まさに前代未聞の展開となりました。
10時間23分に及ぶ marathon のような会見で明らかになったのは、
皮肉にも、日本を代表する報道機関の危機管理能力の決定的な欠如でした。
437人もの報道関係者を前に、港浩一社長と嘉納修治会長は辞任を表明。
しかし、その後の展開は、まるで迷走の連続劇のようでした。
「フルオープン、時間無制限」を謳い文句にしながら、核心的な質問に対しては、
まるで鉄壁のように「プライバシー保護」の盾を掲げ続けたのです。
特に物議を醸したのは、遠藤龍之介副会長の「同意・不同意の不一致があった」
という衝撃的な発言とその後の慌ただしい撤回劇。
この一幕は、組織としての意思統一すら図れていない現状を如実に示すものでした。
危機管理コンサルタントの白井邦芳氏は、今回の会見を「大失敗」と断じています。
通常なら300から500の想定問答を準備するところ、今回のケースでは1000以上必要だったという指摘は、準備不足の深刻さを物語っています。
さらに注目すべきは、労働組合からの意見書の存在です。
実権を握るとされる日枝久取締役相談役の不在に対し、
現場の社員たちはストライキも辞さない構えを見せています。
これは、表面化した問題の氷山の一角に過ぎないことを示唆しています。
医療面での対応にも重大な疑問が投げかけられています。
1311名の従業員を抱える大企業でありながら、
産業医との連携が見えてこない点は、組織としての基本的な危機管理体制の欠如を示しています。
この「やり直し会見」で露呈したのは、単なるコミュニケーション能力の問題ではありません。
それは、日本の大手メディア企業における governance の致命的な機能不全です。
社長ですら「中間管理職に過ぎない」という指摘は、組織の歪みを端的に表現しています。
スポンサーの離反は確実に加速するでしょう。
第三者委員会の調査結果を待たずとも、広告収入の回復は容易ではないと予想されます。
新社長の清水賢治氏が掲げる「信頼の回復」という目標は、まさに険しい山道の入り口に立ったばかりと言えそうです。
この一連の出来事は、日本のメディア界に大きな警鐘を鳴らしています。
危機管理、組織統治、従業員保護――これらの基本的な企業機能の再構築なくして、
真の再生はありえないことを、10時間超の会見は痛烈に示したのです。
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