法律に基づいて、助けを必要とする人たちのために活動している弁護士。
日本では難関と言われる司法試験を突破しなければその資格は得られず、誰にでもなれる職業ではない。
そのため、必死に勉強している人も少なくない中、米国ではそうした過程を無視して弁護士業務に当たっていた47歳の男がいた。
少なくとも過去5年間にわたり業務の依頼を受け、法廷で数々の裁判に臨んできたというこの男。
過去の犯罪経験とテレビで得た知識を駆使して、法廷では堂々たる振る舞いを見せていたそうで、裁判所の関係者も全く疑うことはなかったという。
この男はイリノイ州で活動していたという47歳のタヒル・マリク被告。米紙シカゴ・サンタイムズや英紙デイリー・メールなどによると、
昨年12月、裁判所の関係者が彼の行動は何やらおかしいと疑念を抱き、裁判所が法的証明書の提出を求めたところ、弁護士資格がないことが発覚した。
事件を捜査した警察は「彼は資格取得を除き、すべて正しい行動をとっていたので、長い間誰も疑わなかった」とコメント。
また、実際に彼に弁護を依頼した経験がある男性は、「彼はやり手弁護士のように、堂々と法廷内を歩き回っていた」(米紙シカゴ・トリビューンより)と語り、
完全に本物の弁護士と信じきっていたようだ。
これまでに強盗や万引き、不法侵入など数々の前科があるというマリク被告。警察はこうした度重なる犯罪により、
自分が被告として出廷した裁判所でやり方を身に付けたと見ているそうだ。
また、ここ最近は彼が「失業していた」と明かした父親は、「テレビを見て法律知識を得たのかもしれない」との見解を示している。
ただ、一方で父親は、マリク被告が法律知識に精通はしておらず「人に助言をしていただけ」(米放送局NBCシカゴより)と息子を擁護。
同時に「こんなに長く弁護士のフリができる人がいるなんておかしい」と、裁判所への批判も口にした。
マリク被告が請け負ってきた弁護の依頼は、交通違反関係や抵当差し押さえに関するものなどに限られているそう。
ある程度裁判の仕組みを理解していた彼は、こうした案件に限定して引き受けることで、本物らしく弁護士活動を行ってきたようだ。
ちなみに警察の調べでは、少なくとも60人が彼に依頼をして、案件によって500ドル(約4万1,000円)から4,500ドル(約37万円)の費用を払っていたという。
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